アートリンクプロジェクトの可能性

私たちは障害のある人の文化芸術活動を通して、彼らの豊かな感性を引き出し作品にしていく、あるいはそれを社会化していくという活動を展開しています。その 中でも障害のある人自身の可能性をより注視すべく、2004年度、長期間にわたるプロジェクトを立ち上げました。「アートリンク・プロジェクト」です。想 像力の芽を持つ知的に障害のある人とアーティストが1対1のペアになり、半年間互いの感性や創造性を刺激しながら共同制作をするというもので、個対個から でてくる関係性を作品という形で具現化し、その軌跡から新たな価値・可能性を考えていくというねらいがあります。

 

 ここでは、既存のカテゴリーにとらわれることなく「みたことのないもの」をつくる、出会ったことがない人と出会い、楽しさを広げることを求めています。空間認識や模倣に抜群の力を発揮させるものの自由な創造が苦手という自閉症の男子とでは、逆転の発想で「真似しあう表現」の世界を作り上げたり、相手の呟きを詩にしてお話から絵が生まれたり、絵からお話が生まれたりもしました。相手のあるがままの表現方法を尊重し、存在そのものを表しているといえます。一方、長期間のリンクは、障害により表現が制約されていると思いがちな参加者、関係者に新たな視点をもたらす契機にもなっています。アートを「世界観の拡大」と捉えると、アーティストは「概念をつくる人」といえ、一方障害のある人は、生まれながらに我々を揺さぶる「概念」を持っているともいえるのではないでしょうか。これを美術の世界のみに留めるのではなく、広く地域社会と繋がることで、障害者自身を含めた地域のエンパワーメントが図られ、その価値の提案、普及活動こそが我々主催者及びアーティスト の役割であると認識しています。この実践を通して、人々を隔てる「障害」を超えた共感と理解、人々の日常生活に新たな価値の発見・変革をもたらせることが可能になりつつあります。

 

 今後は高齢者・幼児などとのリンクの仕組みを作っていき、一人ひとりが自己実現を図れるよう、今後もプロジェクトを継続していきたいと考えています。